何十年も前から問題を抱えている神奈川県警 神奈川県警銃器対策課の巡査部長が暴力団組員らに捜査情報を漏らし、見返りに現金を受け取っていたとして、受託収賄の疑いで逮捕された。
また、神奈川県警である。この県警をめぐる不祥事は、発覚しただけで咋年一月以降二十六件になる。元警部補の覚醒剤使用もみ消し事件など一連の不祥事が続いた九九年、信頼回復の責務を負って異動してきた警務部長は、以来十回を超える謝罪会見をした。まさに泥沼状態だ。 今回の事件は、これまでのとはわけが違う。わいせつ行為や空き巣、殺人など警察官以外でも起こしうる犯罪ではない。ほかの役所や企業でも起こりうる組織的な隠ぺいでもない。警察官が職務として行う行為と密接に関連した犯罪である。 逮捕された巡査部長は暴力団組員らを長年情報提供者として使っていたという。その情報提供者に対して、逆に捜査情報を提供した疑いがもたれている。 暴力団や銃器の捜査にあたって警察官が情報提供者を利用するのは珍しいことではない。神奈川県警ではこれまで、協力者を各部署で登録したうえ、警察官が一人で接触することを禁止し、事後に報告するよう指示していた。今回の事件を受け、あらためて接触の手順を徹底する通達を出した。 しかし、元神奈川県警幹部の一人は「そのような通達には意味がない。本当に重要な情報提供者についてはだれにも明かさないのが常識だ。今回の事件はそういう問題ではなく、警察官として越えてはならない一線を越えたということだ」と話す。 ミイラとりがミイラになってしまったのではないか。要は警察官として当然持つベき倫理観の問題であろう。神奈川県警は、別の巡査部長の連続わいせつ事件で県公安委員会から監察指示を受け、六月四日から十八日まで監察を行っていた。巡査部長が現金を受け取った疑いがもたれているのは、この期間中である。 都道府県公安委から警察への監察指示は、咋年十一月の警察法改正で新たに定められたもので、実際に指示が出されたのは全国でこれが初めてだった。 「監察指示」は警察法改正の目玉の一つとされていた。しかし、公安委と警察という枠組みの中で行う監察では、何の実効性も持たなかったことは明らかだ。 一連の不祥事を受けた警察法改正では、警察以外の組織や人による外部監察の導入が見送られた。警察の自浄能力には限界があるという視点からの提言だったのに、「捜査上の秘匿性」「公安委に屋上屋を重ねる」などを理由に導入されなかった。 警察官の大多数は職務を忠実に務め、住民のために暴漢を取り押さえようと命を落とした殉職者もいる。一部の者の不祥事が警察組織全体に与える打撃は深刻だ。 警察への信頼を取り戻すためにも、外部監察の導入を検討すべきである。前々から「フタ」をしてはいけないと言っている。この「フタ」を無くさない限り、まず神奈川県警は良くならないだろう。 |