クビ覚悟で首相に反論しろ

政府の行政改革推進事務局の特殊・認可法人に対する組織見直し案は、廃止・民営化の対象を当初の省庁案の十法人から三十八法人に大幅に増やされたが、省庁、族議員の抵抗の強さを改めて浮き彫りにした。
 「道路建設を途中で止めるなんて、首相はパカじゃないか」
 自民党の道路関係合同会議では、出席者の怒号が飛び交ったという。小泉首相が日本道路公団の民営化とともに現行の高速道路建設方式の見直しを検討していることが明らかになったためだ。
 「骨は拾ってやる。クビを覚悟で首相に反論しろッ」。道路族議員の怒りの矛先は、国土交通省の大石久和道路局長に向かった。首相の改革を苦々しく思いながらも、国民人気が衰えない首相から「抵抗勢力」のレッテルを張られたくないとの思いもにじむ。
 今回の見直し案でも、首相が主導した石油公団、日本道路公団など七法人の廃止・民営化は、省庁や族議員の抵抗を抑え込む格好で盛り込まれた。しかし、その他の「目立たない」分野では、抵杭が壁になった。
 昨年開催された、自民党行政改革推進本部会議。牧野隆守本部長代理が「普通の事業団と政策金融とではまったく性質が異なる」と政府系金融機関の見直しに懸念を示すと、橋本元首相も「軽率に民営化と言えば動揺が大きい」とうなずいた。
 結局、今回の案では、攻府系金融機関の見直しが進まず、首相は「必要なものもあるが、政策金融は民間で代行できるものはたくさんある」と不満を漏らした。
 ただ、首相周辺の一人は「首相が特殊法人改革で狙う本丸は、実は財攻再建と郵政事業民営化だ」と打ち明ける。石油公団や道路公団など財政投融資の額や補助金の巨大な法人を改革すれぱ、その他の法人の見直しには柔軟でもいいとの見方だ。今回の見直し案で、財政省所轄の法人が「無傷」だったことで、「首相の背後に財務省あり」との指摘もある。
 「特殊法人にとって、オレはテロリストだな」
 首相は、昨年国土交通省が道路公団などの民営化方針をのんだことについて、石原行政改革相にこんな冗談を飛ぱす余裕を見せた。だが、その後全閣僚を前に、首相は「ますます抵抗が激しくなっている…面従腹背も多い。各大臣は覚悟してもらいたい」と厳しい表借で語ったという。