根強く残る教育・就職・結婚差別あらゆる人の人権が尊重される社会、人と人、人と社会が命の尊さと、人間としての尊厳を認め合える社会をめざして、世界は今、新しい世紀を歩み始めた。
去る二月十日(日本時間)ハワイ沖で起きた米原子力潜水艦と実習船「えひめ丸」の衝突事故における人命捜索と事故原因の究明、実習船引き上げ問題のなかで一番大切なことは、日本政府が、私達日本人の命軽視ともとれる米国側の対応に対し、いかに迅速に日本人の行方不明者の捜索を強く求めると共に、海上自衛隊、海上保安庁、民間船舶の協力派遣を超法規的に行い、国際社会に対し「日本が同朋と人命を守ることに対して最大限の努力をする国家である」ことを米国そして国際社会に対しアピールすることであった。 しかし、実際は森喜朗総理退陣の引き金となったことは、人権施策を国家あげて実行してきた戦後日本社会にあって、いかにその人権や同和対策の集大成がお粗末な結果であるかを如実に示したものといえる。すべからく命の尊さ、人間としての尊厳を認め合うことが人権尊重社会を築く基礎であり、それは日常生活のなかで人権に目を向けながら、私達が活き活きと自由に平等に暮らしていける社会を作り上げることが必要なのである。 しかし「結婚や就職に際し、本人に責任のない事柄で差別をする」という同和問題から障害者、外国人、女性、子供、高齢者など人権に関わる諸問題がまだまだ山積しているというのが現実である。 平成七年に同和問題について意見を聴くベく実施された「大阪府民の人権間題に関する意識調査」によると、、「同和地区の人について意識することはないが、結婚は別だ」という質問に対して、「そう思う」とした人は二七・一%、「差別することはいけないことだと思うが、自分だけ反対しても仕方がない」に対して、「そう思う」は一五・七%、「世間の人はどういう場合に同和地区の人を気にしたり、意識したりしていると思うか」では、「同和地区の人と結婚するとき」七○・一%、「同和地区の人を雇うとき」一二・一%、「同和地区人と同じ職場で働くとき」七・七%、「同和地区の子供と同じ学校に通学させるとき」一八・二%、「同和地区の人と隣近所で生活するとき」一三・二%と、依然として教育、就職、結婚などを中心に大阪府民の差別意識が根強く残っている状況にある。 また、同和地区の人であることを理由とした人権侵害の状況も「あり」が三○・五%で、時期的には五年以内の出来事として二二・五%と、この二十年間同様の数字で平行線を辿っていることから考えても、差別間題は一向に解消せず固定されている観があるのである。 それに対し大阪府では昭和四十年「いわゆる同和問題とは日本社会の歴史的発展の過程において形成された身分階層構造に基づく差別により、日本国民の一部の集団が経済的・社会的・文化的に低位の状態に置かれ、現代社会においてもなお著しく基本的人権を侵害され、とくに近代社会の原理としてもっとも深刻にして重大な社会問題である」という国の同和対策審議会の答申を請けて、平成八年十二月に大阪府同和対策審議会から「大阪府における今後の同和行政のあり方」の答申がなされた。 この中で、同和問題は解決に向けて進んでいるものの、依然として様々な課題が残されており、今後は差別を生み出している原因を根本的になくしていくために、一層の努力を続けるべきである。そして府民の差別意識の解消、地区住民の自主解放・自立・地区以外の住民との交流促進のための諸条件の整備を図り、差別のない社会を実現するため、一般施策を有効かつ適切に活用することを基本とし、同和問題を人権問題という本質からとらえ、様々な人権間題の解決につなげていくという視点に立って同和行政を推進すべきであるとしている。 日本の封建社会の身分制度が廃止されたにもかかわらず、現在社会においても様々な不利益や差別を受け、憲法に保証されている基本的人権が侵害されているという日本固有の人権間題である同和問題、関西とくに大阪府においては同和地区に居住していることや過去に居住していたことを理由として、結婚に反対したり、婚約を破棄したりする結婚差別や同和地区出身者であることを理由に不採用になる就職差別、さらには土地・建物の取引に際して同和地区を避けるという差別は根強く、こういった同和問題について大阪府では一日も早い解決に向け、真に必要な施策の適切かつ効果的な推進に努めるとしている。 オリンピック招致をはじめ国際都市をめざす大阪から一切の差別問題が払拭されるよう、その力強い実行と解決に大いに期待するところである。 |