任意売却と競売

 東京の豊島区に住む社長のY氏が、マンションを担保に銀行から借り入れした借入金が返済できなくなり、保証会社から当該物件を差し押さえられた。知人が事後処理を依頼され、東京三菱銀行(現東京三菱UFJ銀行)の子会社である保証会社のダイヤモンド保証との間で話し合いを持った。
 借りた本人は、少しでも高く売却できる任意売却を考え、任意売却した場合の最低売買価格を鑑定事務所に依頼し、査定結果をダイヤモンド保証に提示したがその結果、提示価値が安すぎるという理由で任意売却の話は流れてしまい、競売で処理されることになってしまった。
 数カ月後、裁判所から出された最低競売価格は先に提示した任意売却の価格を四百万円も下回るものであった。そこで再度ダイヤモンド保証に任意売却での決着を打診し、少し時間(日時)は要したけれども最低競売価格に少し上乗せした価格で購入者まで見付け、ダイヤモンド保証側にその事を報告し、抹消書類などを取りに行くと、ダイヤモンド保証としてはあくまでも競売で処理するとの一点張りで、最終的には当方が提示した価格より低い価格で落札されることになってしまった。
 当方の債務が少しでも圧縮されるように、できるだけ高く売却したいと話し合ってきたし、保証会社にとっても競売価格よりも多く回収できる方が得策であると考えたのに、当方の提示金額より下回っての落札での解決では、どうにも納得が行かない。
 当時あれほど「お金を貸すからマンションを買いなさい」と勧めておいて、バブルが弾け、支払いができなくなれば、力でねじ伏せるように競売にかける。
 しかも、当方が提示した金額より下回っての落札である。これは会社に損害をかけたことにはならないのだろうか。損害をかけた人間は、今でも会社に残り偉そうな顔をしている。