現代帝王学 (姿勢)

日本大学生産工学部 マネジメント工学科
非常勤講師 渡邉 幸雄

 姿勢と言っても色々あると思います。
 体の姿勢を正す、考えの姿勢、人に対しての姿勢、人として生きていく上での姿勢、考えたら切がないくらい姿勢に付いて思い当たる。

 でもここで取り上げる姿勢とは人間として人として生きていくにはどう生きるべきかを述べたいと思います。
 一つに行いの姿勢、この姿勢ほど難しいものは無い、学生生活で友達と遊びに行きいつも自ら使いっぱしりをしていた人間が居た、彼はいつも嫌な顔をせず自ら手を上げて買い物等に行った、雨が降ろうが如何なる時も率先して行った。ある時女の子が「どうして何時もいってくれるの」と聞くと、彼は「誰かが行かなければいけないから、だったら私が行く」と皆から思ってくれたらいいと言った。彼はなけなしのお金を皆から預かり飲み物、お菓子等を買ってきた、旅行に行けばきっちり領収書を貰い自分でノートを買い領収書をのりで張り皆に見てもらっていた、皆から何一つ文句を言われる事は無かった、誰かが「ノートは皆のお金で買っていいと言うと、私が勝手に自分で判断して買う物は自分のお金を出さないと皆に申し訳ないから」と素晴らしい姿勢の持ち主であった。これが皆に対するアピールであり彼の姿勢だと気付いた。

 その彼は大学を卒業して京セラに入社その半年後に東証2部に上場した、その彼は先見の眼があったと皆は言う。何年か前にKDDIの株主総会の招待状が突然送られてきた、行く気も無いのでほって置いたら「京セラ」の彼から会いたいと連絡をもらい会ったら、KDDIの株主総会に出て貰えないかとの事でしたから「分かった」と言い出席した。
 すると議長の(通産省出)の奥山社長が全てを仕切っている、「京セラ稲盛取締役」が本日をもって辞任との報告を淡々と述べ、次の題にいこうとした時「手を上げて」質問をしたいと言うと「どうぞ」との事でしたから、「今KDDI赤字だと言われたが誰の責任か」と言うと「まだ出来て間が無いからです」との返事でした「それは社長の責任ではないですか」と言うと黙ったまま、「貴方が責任を取りお辞めになったらどうですか」すると奥山社長の顔から汗が滴り落ちだした、最後の止めをと思い「奥山社長貴方は官僚でお金の儲け方は知らない、後ろにいるトヨタの奥田取締役とお変わりになったらどうです」と言うとオロオロしだした、ここら辺でと思い先程本日でお辞めになる稲盛取締役に最後の挨拶を戴いたら「先程は挨拶は無しだと言われていましたが」どうですかと言うと、奥山社長は「稲盛取締役どうぞ」であります。
 約30分お話になり最後に私に一礼され壇上を後にされました。
 稲盛取締役は「会社経営者のモノでもない、ましてや株主様のモノでもない、従業員のためのものだ」との理念を持っている為に、奥山社長とは経営理念が反する為の辞任であった。
 ようは「お金を儲けようとする姿勢が無いと見抜いた社長給料さえ貰えばいい」官僚の考える事であります。

 今述べた中に我が家(お寺)での伝わっている手法を書きましたが、それは土佐藩の「坂本龍馬」が我が住職から教わった事です。
 「自分欲しい物反対狙えば欲しい物が手に入る」との教えだそうです。龍馬の手紙にも決して本心の欲しいものは述べてない。
 この文章で私の頼まれた事は「稲盛取締役辞任挨拶であります」そのまま稲盛取締役辞任挨拶をさしてやったらどうか、と言うと「奥山社長は前例が無いしそんな場所ではない」とムキになる、そこで奥山社長の経営責任を追及し奥山社長が焦ってきたら、矛先を稲盛取締役に向けると、官僚の人間は自分が責任を取らされるのを嫌がり「必ず逃げる」案の定、挨拶はダメだと言っていたのに、「稲盛取締役どうぞ」であります、聞いていた株主、取締役が皆爆笑でありました。
 株主総会の招待状が未だに来る。株を買った訳でもないのに。

 ここで言えるのは私の姿勢です、京セラの彼は「挨拶したいと言っている人間が居るのに挨拶をさせないとは」そんな場面を私が見たら「必ず、挨拶したいならさせてやるべきだ」の私の姿勢を知っていたから、彼は何も言わず総会に出て貰えるかとの事であった、多分株は彼が身銭を切って買った物だと思います。
 この様な姿勢を身に付けて貰い、家族の為、自分の為、会社の為に頑張って貰いたいと思います、必ず誰かが何処かで見ています、誰かが見ているからやるのではなく、自分に対し良い姿勢を身に付ける為にやりましょう。
 必ず良いポジションに付けると思います。