白 洲 次 郎 A
軽井沢ゴルフで、白洲次郎氏と別れる時は、家の一番上の兄貴と別れる様な気持ちでした、帰る時には「封筒」を渡され「えっ」という顔しましたら「いいから取っておけ」と、言われたんです。 当時はお金のない時代でしたから、本当に有り難かったです、ゴルフ場の門の所で振り返り、再度「お礼を」と思い、頭を下げましたら、白洲さんはちゃんと見ていましたね。 「有難う御座いました」と、頭を下げて感謝の気持ちを込めて挨拶しました。 私が挨拶している姿をじっと見ていました、いい加減な挨拶をすると、何か言われそうな態度で見ていました。(挨拶や言葉づかいはその人間の本性がでると、言われていますから、住職から言われていました、挨拶はキチッと頭を下げ背筋を伸ばし手を伸ばしてする事と) 昔の人はそういう人が多かったです、人を見る時には、その人間の挨拶や態度を見ていましたね。 それから何ヶ月かして、同じ高知県から上京した「相撲界の荒瀬関・横綱輪島関」の所に、私を尋ねて来られた人がいたと言われ、電話をする様に言われたんです。 教えて貰った所の電話番号に電話すると、一週間後に銀座の会社を尋ねて来るようにと言われまして、横綱輪島関の許可を貰い、横綱がタニマチとお会いして食事している時に、銀座の会社を尋ねました。
何やら胡散臭い物がところ狭しと置いてあったんです、何やら「骨董品」を扱っている店でしたね。 そこの店に行きまして、少し待っていましたら、外車に乗った「キザナな親父」が降りてきたんです。 よく見ると「軽井沢の白州さん」でした、直ぐ近づき「こんにちは、その節はご馳走になりまして有難う御座いました」と、挨拶しました。 いいから中に入れと言われ、中に入ったら先程から皆さんお待ちでした。 「おい、座れ」と言われ、言われるままに座ると、白州さんは一人一人を紹介してくれたんです。 彼が「二っちゃん」で、彼が「秀ちゃん」で、そんなことはいいと言いながら、皆さんに私を紹介したんです。
彼が、前に話した「渡(わたる)」だな、そうだな。 私は「はい、そうです」と言い、それからは私の名前は「渡・わたる」でした。 ここにいるのは皆家族だ、気楽にしろ、と言われました。 「はい」と答え、じっとして見ていましたら。 何やら骨董が何だとか、訳の分からない事を、延々と喋っていました。 私は1時間ぐらいして「帰ります」と、言って外に出ましたら。 白洲さんがこれ持っていけ、と言って、封筒をくれたんです「えー」と、言う間に、もう店の中に入って行きました。 「有難う御座います」と頭を下げて帰って来ました。 少しして「花籠部屋」に呼び出しの電話があり、銀座にお伺いしました。 度々電話を貰い銀座にお伺いしたんです。 皆で食事をしようと、言われ、龍虎関、魁傑関、荒瀬関、横綱輪島関と私で総勢11名の食事会でした、飲めや歌えやの大宴会でした。
帰る時に封筒を頂き「皆にな」と、言われて、直ぐに横綱、荒瀬、魁傑、龍虎関に、頂きましたと伝えましたら、皆さん白洲さんと握手をされ挨拶されていました。 その後、白洲さんは私に、明日銀座に来るように言われましたから。 「はい」と言い、お伺いしました。 「はい」と言うと。 昔な、うちの家の会社「白洲商店」と「土佐商会」という土佐藩から出た会社と付き合いがあった。 「お寺・日蓮宗」です。 何処のお寺だと、聞かれたんです。 「田舎の高知県土佐市宇佐という田舎のところです」と言いましたら。 ほう「何か有名なものは無いのか」と聞かれたんです。 何も無いですと言い、話し終えると。 白州さんは「何かあるだろう」親から聞いている「何かだよ」と、再度言われたんで。 私は「え〜」と、しいて言えば親父の話では「・・・・の実の子供がいる」くらいですかね。 住職が生まれた時にはお孫さんと一緒に育ったといいます。 私のお寺でお預かりして「家の子供」として育ったと聞いています。 海援隊のメンバーが土佐に船で来た時は、須崎港に停泊し、直ぐに我が寺まで馬を走らせ、我がお寺で何日も寝て休んでいたと言われています。 何処にいても命を狙われていたと、言われていました。 身体を休める所が無かったんです、誰にも言わず「港に着いたら、直ぐに我が寺」に、直行してそのまま本堂で寝ていたと、住職が言っていました。 その時に、我が寺でお手伝いしていた女子と良い仲になり「身籠り」我が寺でお育てしたと、言っていました。 私も小さい時は「叔母さん、叔母さんと」慕っていました、その方が結婚されて「男の子、女の子」を産んで育てています。 その産まれてくる子供に対し「短刀やお金」をお預かりしたと、住職の話です。
「渡・わたる」その話し面白いな、例え「嘘」でも面白いと、真剣に言われました。 周りにいた仲間が、固唾を呑んで、私と白洲さんの話を聞いていました。 話し終わったら、皆さんから「拍手」があり、白洲さんは笑っていました。
次回に
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